STUDENT DECISION RECORDS

「“誰にも届かないスピーチでいいのか”という違和感から、“満員の会場をつくる”と決めた」#SDR28-0001

INTERVIEW & TEXT

笹原 哲

2026.04.13

STUDENT DECISION RECORDS

ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。

学生プロフィール

東京大学農学部3年、埼玉県出身。
現在、スピーチ大会の観客動員変革に挑戦中。

ESSスピーチセクションでスピーカーとして大会出場を重ねる中、
実際にはスピーチ会場には誰もいないという見過ごされる現状「スピーチが誰にも届いていない」という現実を直視。
現在は「スピーチの価値が届かない構造」という課題に集客のリーダーとして向き合っている。

スピーチ大会の本質的な価値を取り戻す。

団体運営は2年生がするもの。その慣習により“3年生は活動から離れる”中、彼はあえて最前線に立ち続けた。
その背景にあったのは、「誰にも届かないスピーチでいいのか」という違和感だった。

“自分は、何のためにこの場に立っているのか?”

その問いから逃げなかった結果が、今の挑戦につながっている。

【学生時代に成したいこと】

彼が今成し遂げたいのは、スピーチ大会の価値を取り戻すことだ。

現状、多くの大会では観客は10人以下。
大学最大規模の会場でも、客席の大半は空席。

それでもスピーカーたちは、
「社会を変えたい」「誰かの価値観を動かしたい」と、
8分間のスピーチに想いを込めて立っている。

彼は、その“届かない構造”を変えたいと考えた。

目標は明確だ。
東大杯の会場・安田講堂を1,000人の超満員にすること。そして、これを起点に、スピーチ界の当たり前を変える一石を投じること。

【その道を選ばざるを得なかった理由】

多くの学生が「スピーチ大会とはそういうもの」と受け入れる中で、
彼だけが立ち止まった。

大会に出場するたびに見た光景。
観客席には、出場者の知人と運営だけ。
頷いてくれる人は、わずか10人程度。

「“to the audience”と呼びかけても、その先に誰もいない」

この現実に、彼は強い違和感を覚えた。

スピーチとは、本来
“人の行動や価値観を変えるもの”のはずだ。

それなのに、
内輪だけで完結する場になっている。

この“目的の形骸化”が、どうしても許せなかった。


【原体験における共鳴ポイント】

彼は元々、「当たり前を疑う」性質を持っていた。

大学入学後、バドミントンに打ち込んでいた時期がある。
朝から晩まで練習に明け暮れる日々。

しかし、ふと立ち止まる。

「自分は、これをやるために大学に来たのか?」

そこで思い出したのは、
「一番になりたい」という自分の原点だった。

その問いから逃げず、スピーチの世界に飛び込んだ。

そして今回も同じだった。
“例年通り人が来ない大会”という当たり前に対して、
彼は再び疑問を持った。


【覚悟が定まった瞬間】

問題意識はずっとあった。
だが、具体的な打ち手が見えていなかった。

転機は、インターンで本気で取り組んでいたSNS運用だった。

インフルエンサーとのコラボによって、成果が生まれた瞬間を見て、
“外部に認知を広げられる可能性”を見つけた瞬間、

「これならいける」

と、道筋が見えた。

さらに、ある出来事が背中を押す。

ESSの活動の中で出演をしたSNS動画を見た高校生が、
「かっこいいと思って来ました」と声をかけてきた。

“届いている実感”

その瞬間、確信に変わった。

【捨てたもの】

この挑戦の裏で、彼は多くを手放している。

  • 毎日のように続けていたピアノ

  • 頭を空にして休む時間/何も考えずに過ごせる余白

3年生は本来、時間に余裕ができる時期。
周囲は徐々に活動からフェードアウトしていく。

その中で彼は、
“楽な大学生活”を捨てた。


【意思決定の軸】

「描ける未来で選ぶ」

行動した先に、
“実現したい光景が見えるかどうか”。

満員の会場で、
スピーカーが生き生きと語る姿。

その映像が、はっきり見えたから選んだ。


【現在の挑戦】

最大の壁は、
「オンラインからオフラインへ人を動かすこと」。

SNSで認知を広げるだけでは意味がない。
“来場”という行動まで変えなければならない。

競合は無数にある。
友人との予定、家族との時間、他のイベント。

その中で「行く価値がある」と思わせる必要がある。

単なるマーケティングではなく、
人の心と行動を変える挑戦だ。


【誰に、何を返したいか】

彼の成功の定義はシンプルだ。

スピーカーが、こう言うこと。

「自分の声が、ちゃんと届いた」

観客が、こう感じること。

「来てよかった。考え方が変わった」

その瞬間が生まれたとき、
この1年は報われる。


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