STUDENT DECISION RECORDS

「“この場所をなくしたくない”という危機感から、彼女は組織を背負う側を選んだ」#SDR28-0010

INTERVIEW & TEXT

笹原 哲

2026.04.28

STUDENT DECISION RECORDS

ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。

学生プロフィール

法政大学グローバル教養学部3年、香川県生まれ・神奈川県川崎市育ち。
現在、国際ボランティア団体「ONELIFE」の代表として、組織の意思決定とより強いコミュニティづくりに挑戦中。
これまでの「周囲より一歩先にいたい」という負けず嫌いさと、期待を裏切りたくない責任感を原動力に、
現在は「メンバー全員が“この団体に入ってよかった”と思える組織をどう残すか」という課題に向き合っている。

仲間のために、一歩先で、責任を取る。

大学入学後、一年生の夏休みまで普通の大学生活を送っていた彼女は、現在、組織の未来を背負う道を選んだ。
その背景にあったのは、「このままだと、自分が大好きになった居場所がなくなってしまうかもしれない」という危機感だった。
“誰かがやってくれる、で終わっていいのか”
その問いから逃げなかった結果が、今の挑戦につながっている。

【学生時代に成したいこと】

今、彼女が成し遂げたいのは、ONELIFEを、同期や後輩が「入ってよかった」と心から言える場所にすることだ。
ただ活動を続けることではない。引退する時に、メンバー全員が「ここでしか得られなかったものがあった」と思える状態をつくることが、彼女の目標になっている。
彼女にとっての成功は、支援活動の結果だけではなく、その過程をともにした仲間が納得感を持ってやり切れる組織を残すことにある。

【その道を選ばざるを得なかった理由】

彼女が普通の大学生活ではなく、この道を選んだ理由は、自分が愛着を持った場所を、このまま衰退させたくなかったからだ。
大学当初は、彼女自身もいわゆる“普通の大学生”の延長線上にいた。だが、ONE LIFEに本気で関わる中で、この団体が自分にとってただの活動先ではなく、大学生活の意味そのものをつくってくれた居場所へと変わっていった。

だからこそ、新歓の難航や組織の停滞が見えたとき、彼女はそれを他人事として受け流せなかった。
「誰かがやってくれるだろう」ではなく、この場所を守り引き継ぐために、自分が引き受ける側に回らなければいけない。
その危機感と、期待を裏切りたくない責任感が重なったとき、彼女にとって代表という選択は、背伸びした挑戦ではなく、最も自然な意思決定になった。


【原体験における共鳴ポイント】

彼女の原体験の核にあるのは、「周囲より一歩先にいたい」という感覚と、「ちゃんとしている自分でいたい」という自己像だ。
幼少期から、どんな環境でも好奇心旺盛に周囲と関わり、明るく立ち回る中で、周囲からは「未帆ちゃんはちゃんとしているね」と言われることが多かった。その評価は、彼女にとって単なる褒め言葉ではなく、自分はそうあるべきだという感覚として積み重なっていった。

小学生の頃には、周囲が自分より先に勉強を進めていることに焦りを感じ、自分から塾に通い始めた。中学では高校受験を見据えて早くから準備を始め、高校進学後も将来の希望の学部を選べるよう高い成績を維持し続けた。
彼女の中には昔から、後から追いかけるより、先に動いて余裕をつくっていたいという感覚がある。だからこそ大学でも、問題が起きてから誰かを待つのではなく、自分が先に動く側に立った。
今の意思決定の背景には、そうした負けず嫌いさと、期待に応え続けてきた積み重ねがある。


【覚悟が定まった瞬間】

彼女の覚悟が定まったのは、団体の停滞を目の前にして、「誰かがやる」ではなく「自分がやる」と腹を括ったタイミングだった。
特に大きかったのは、2年生の春、新歓がうまくいかず、組織の課題が一気に見えた時期だ。
ここで彼女は、自分の好きな場所がこのまま縮小していく未来を現実のものとして受け止めた。

代表を引き受ける際も、勢いで決めたわけではない。周囲の特性や役割を冷静に見たうえで、「この局面で一番引き受けるべきなのは自分だ」と判断した。
“楽しむ側”から、“背負う側”へ。
その切り替えが、彼女にとっての覚悟の瞬間だった。

【捨てたもの】

彼女がこの挑戦の裏で手放したものは、生活の余白だ。
土日に自由に遊ぶ時間、何も考えずに休める時間、睡眠時間さえ削りながら、彼女は団体運営に向き合っている。
授業の履修すら、団体の準備時間を基準に組み立てるほど、生活の中心は完全にONE LIFEになっている。

さらに彼女が手放したのは、一歩引いた立場でいられる気楽さでもある。
好きな時だけ関わるメンバーでいるのではなく、全員の納得や組織の未来に責任を持つ立場を引き受けた。
彼女が捨てたのは時間だけではない。「自分のことだけ考えていればいい大学生活」そのものだ。


【意思決定の軸】

「一歩先で、責任を取る」

彼女は、ただ目立ちたいから前に出るわけではない。
周囲より先に準備し、先に課題を見つけ、先に引き受けることで、全体を安定させたいと考える。
その背景には、負けず嫌いさも、心配性も、期待に応えたい気持ちもある。
だから彼女の意思決定は、常に「自分がやるべきかどうか」ではなく、「ここで誰が責任を取るべきか」に向いている。


【現在の挑戦】

彼女が今ぶつかっている最大の壁は、正解のない意思決定を、組織として納得できる形に落とし込むことだ。
現在、団体の支援ミッションを決める大詰めの局面にあり、複数の案を前に、どれも間違いではないからこそ決めきれない難しさに向き合っている。
ただ多数決で決めるのではなく、メンバーそれぞれの思いを汲みながら、「この団体がやる意味」を言語化しなければならない。

もう一つの挑戦は、全員が“ここにいてよかった”と思えるコミュニティをどうつくるかだ。
組織を回すことと、人の気持ちを置き去りにしないこと。その両立は簡単ではない。
それでも彼女は、トップダウンで引っ張るのではなく、なるべく多くの人が納得し、居場所を感じられる形を探し続けている。


【誰に、何を返したいか】

彼女が最終的に返したいのは、同期や後輩たちに対する「この場所にいてよかった」という実感だ。
自分自身がONELIFEで感じた楽しさ、成長、仲間とのつながり。それを、次は自分が組織をつくる側として返したいと思っている。

そして彼女にとっての成功は、引退の時にメンバーから
「ONE LIFEに入ってよかった」
「ONE LIFEが大学生活にあってよかった」
「めっちゃ楽しかった」
と言ってもらえることだ。
その言葉を聞けたとき、彼女の挑戦は初めて報われる。


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