STUDENT DECISION RECORDS
INTERVIEW & TEXT
笹原 哲
STUDENT DECISION RECORDS
ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。
駒澤大学3年、栃木県生まれ・愛知県名古屋市育ち・神奈川県横浜市在住。
現在、学生団体 ONELIFE の副代表として、組織全体を巻き込む意思決定と組織改革に挑戦中。
中学進学時の転校による自分を出しきれない経験や、大学受験での大きな挫折を経て、現在は「仲間が ONELIFE に入ってよかったと思える環境をどう残すか」という課題に向き合っている。
周囲が大学という一つのコミュニティの中で、無難に学生生活を送る中、彼女は大学の外に居場所を求め、組織を動かす側に回る道を選んだ。
その背景にあったのは、「このままでは、大学受験の失敗を何も挽回できない」という強い悔しさだった。
“私はこのまま、何も成し遂げない4年間で終わっていいのか”
その問いから逃げなかった結果が、今の挑戦につながっている。

今、彼女が成し遂げたいのは、ワンライフ全体が一つの方向を向き、メンバー1人ひとりが「ここで頑張ってよかった」と思える組織をつくることだ。
特定の局だけではなく、団体全体をいい方向に動かしたい。後輩がやりがいを感じて活動できている姿を見て引退したい。彼女にとっての目標は、単なる役職の完遂ではなく、組織の空気そのものをより良いものに変えることにある。
彼女が団体を選んだのは、大学受験の失敗を、自分の中で“未消化のまま”終わらせたくなかったからだ。
当初、志望校に届かなかった悔しさは大きく、「なんでここに行かなきゃいけないんだ」と思ってしまうこともあった。だからこそ、大学生活をそのまま受け入れて過ごすことには若干抵抗があった。この4年間で何かを成し遂げなければ、自分の中で納得できないという危機感が、彼女を動かしていた。
さらに彼女には、団体の構造に対しての大切な改善点も気づいた。
団体として支援をしているはずなのに、下の代は十分に関わりにくい状況がある。その状態に対して、彼女は「それは団体全体ごととして支援をできていると言えるのか」という疑問を抱いていた。だから彼女は、ただ所属するのではなく、仕組みを変える側に立つ必要があった。

彼女の原体験の核にあるのは、「居場所を失う感覚」と「結果で認められたい気持ち」だ。
小学校では明るく社交的で、英会話スピーチコンテストなど自分から前に出ることも多かった。しかし中学進学のタイミングで横浜に引っ越したことで、周囲がすでに関係性を築いている中に一人で入ることになり、引越し当初は家で泣くほど苦しんだ。ここで彼女は、自分の素を出せる環境や、受け入れられる居場所がどれほど大事かを身をもって知った。
もう一つ大きかったのが、大学受験での挫折だ。
彼女自身も「人生最大の挫折」と語っているように、第一志望に届かなかった経験は強烈だった。悔しさも後悔も残ったまま大学生活が始まったからこそ、彼女の中にはずっと「このままでは終われない」という感情が残り続けた。今の挑戦は、その悔しさを単なる劣等感で終わらせず、努力と成果で塗り替えたいという気持ちの延長線上にある。

彼女の覚悟が定まったのは、新歓で初めてリーダーを任され、同時に組織の危うさを目の当たりにしたときだった。
集客グループのリーダーとして動く中で、彼女は「ワンライフのために頑張ること」の楽しさとやりがいを知った。一方で、今まで先輩がやってくれていたことの大きさと、自分たちの代が一致団結することの重要さがはっきりと見えた。そこで初めて、「このまま執行代になったら本当にまずい」という危機感を持った。
そして大学2年の夏、彼女は副代表を引き受ける覚悟を固める。
大学生活で本気で打ち込めているものがワンライフしかない。ならば、ここで頑張るしかない。そう腹を括ったとき、彼女の挑戦は“なんとなく好きな活動”から、自分の4年間を懸けるものに変わった。

彼女がこの挑戦の裏で手放したものは、自由な時間のほとんどすべてだ。
本人は「捨てたものはない」と言うが、それは何かを惜しんで削った感覚がないだけで、実際には大学生活の空白時間が丸ごとワンライフに置き換わっている。遊びを削ったというより、何も打ち込んでいなかった時間が、全部この挑戦に注ぎ込まれたという方が近い。
その中でも、はっきり削ったものを挙げるなら睡眠時間だ。
副代表として組織運営と学業・ゼミの両立に向き合う中で、彼女が削っているのは、気楽さや余白に近いものかもしれない。彼女が捨てたのは、一般的な大学生らしい自由時間というより、“何者にもならなくていい時間”そのものである。
「好きな仲間と、意味ある成果を出せるか」
彼女は、自分が好きだと思える人たちと一緒に頑張れる環境で、努力が成果として返ってくるときに最も力を発揮する。
ただ仲がいいだけでは足りない。ただ成果が出るだけでも足りない。仲間と一緒に本気で取り組み、その頑張りがちゃんと形になって返ってくることが、彼女にとって最も大きなやりがいになっている。
彼女が今ぶつかっている壁は、理想の組織運営と、学生団体としての現実の間にあるギャップだ。
本当は、ミッションの決定も含めて全員で意思決定したい。だが実際には、学生ボランティアには一年単位での支援実績を残すなど、限界もあり、支援の需要だけでなく「自分たちがやりたいと思えるか」も無視できない。彼女は今、理想論だけでは進まない現実の中で、どこまでみんなを納得感を持って楽しく巻き込めるかに向き合っている。
さらに現在は、活動を通じて、学業にも意味を見出し、受験の失敗も正しく受け入れた。マーケティングのゼミが本格化し、学業にも真剣に向き合う中でその両立も大きな挑戦になっている。
副代表としての責任と、大学3年生としての忙しさ。その両方を抱えながらも、彼女は後輩にバトンを渡すために、組織の仕組みと空気の両方を整えようとしている。

彼女が最終的に返したいのは、ワンライフという場所そのものを、仲間にとって“入ってよかった場所”にすることだ。
同期にも、後輩にも、そして今この団体にいるメンバー全員にも、自分が受け取った居場所ややりがいを返したいと思っている。彼女にとって副代表という役割は、目立つための立場ではなく、大好きな場所への恩返しの手段でもある。
そして彼女にとっての成功は、引退のときにメンバーから笑顔で
「ワンライフに入ってよかった」
「ワンライフを続けてよかった」
と言ってもらえることだ。
後輩がやりがいを持って活動している姿を見られたとき、彼女は初めて、自分の努力が組織に還元できたと感じられる。
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