STUDENT DECISION RECORDS

「“自分ならもっとできる”で進んできた彼女が、仲間と進む力”を知った」#SDR28-0014

INTERVIEW & TEXT

笹原 哲

2026.05.08

STUDENT DECISION RECORDS

ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。

学生プロフィール

早稲田大学理工学部3年、東京都(浅草エリア)出身。 ストリートダンスサークル SesSion の副幹事長として、約300人規模の組織運営を担っている。

個性的なメンバーが様々な目的でサークルに参加しそれぞれの道を進む中、彼女は団体全体が年間の行事をやり切るための仕組みづくりや推進(フォーム設計、仕事の割り振り、練習運営、サークル内のコミュニケーション設計)といった“組織を回す側”に役割を見出した。

彼女のチャレンジは、今までの運営を深く理解しつつ、さらに連携を強化し、サークルを通じた様々な機会で人間関係がより深まるようによりシステムを進化させていくことだ。

賭けられる仲間と、前に進む。

彼女はずっと、「自分ならもっとできる」と思いながら前に出てきた。

周囲が誰かの流れに乗る中でも、自分が仕切ったほうが早い、自分が動かしたほうがうまくいく、という感覚が強かった。

けれど大学でSesSionに入り、約300人の大きな組織を仲間と一緒に動かす中で、その感覚は少しずつ変わっていく。一人で前に出ることより、大きな目的に向かって誰かと仕事をすることのほうが、ずっと深い熱量とつながりを生む。

いま彼女が副代表として背負っているのは、組織運営そのものだけでなく、その過程で生まれる“仲間との結びつき”でもある。

【学生時代に成したいこと】

彼女が学生時代に成したいのは、ただ公演やイベントを成功させることではない。

ダンスサークルに入る学生が、「居場所としての居心地の良さ」や、ダンサーとして「上達すること」や「舞台でいい位置を獲得すること」に重きが置彼やすい中で、

彼女が目指しているのは、ダンスや仕事を通じて人間関係ができ、組織全体が一つの方向に進んでいる状態をつくることだ。SesSionをやり切ったあとに、単に“楽しかった”で終わるのではなく、あの時一緒に動いたからこそ生まれた絆が残っている。

そんな組織にすることが、彼女にとっての学生時代の到達点になっている。

【その道を選ばざるを得なかった理由】

彼女がこの道を選んだ理由は、ダンスそのものを極めたかったからだけではない。

多くのメンバーがジャンルの技術やダンサーとしての上達を追う中で、彼女はそこだけにはまらなかった。

惹かれたのは、ゴールから逆算し、システムを組み、巨大な組織を推進させることだった。そして大学で初めて、自分一人で前に出るよりも、大きな目的に向かって誰かと仕事をすると、人とのつながりが深くなることを実感した。

だから彼女にとって副代表は、単なる裏方の役職ではない。自分の推進力を、仲間との関係の中で使い直すためのポジションだった。


【原体験における共鳴ポイント】

彼女の原体験の核にあるのは、幼い頃から続く「自分ならもっとできる」という感覚だ。

幼少期のチアではきつい練習もやり抜き、小学校ではマーチングバンドの指揮者のような限られたポジションを勝ち取りにいった。学級委員も、他の子が前に立っているのを見ると“自分のほうがうまくできるのに”と感じていた。中高でもその感覚は変わらず、熱量の高い環境に身を置きながらも、自分で引っ張るほうに自然と寄っていった。

けれどその分、友達との関係は広く豊かというより、必要な場面でつながる、狭く浅いものになりやすかった。人と深く混ざるより、自分が前で進めることのほうが優先されていたからだ。そんな彼女が大学で初めて、“一緒に仕事をする仲間”として人とつながる経験を得たことで、関係の意味そのものが変わり始めた。


【覚悟が定まった瞬間】

転機は、大学2年の早慶戦と、その後の副代表選択だった。

一度はSesSionを辞めようとしていた。周囲との距離感もあり、同期の作った振りを踊ることにもしっくり来ていなかった。けれど、同期でつくり上げた早慶戦が想像以上に楽しく、先輩から評価も受けたことで、「ここで続ける意味」が見え始めた。

さらに、周囲がプレイヤーとして前に立つ道を考える中で、彼女は膨大な引き継ぎ資料や運営の仕組みに面白さを感じ、副代表を選んだ。ここで彼女が腹をくくったのは、自分一人が目立つためではなく、仲間と大きなものを動かす側に立つという覚悟だった。

【捨てたもの】

彼女がこの挑戦の裏で捨てたものは、気軽さ以上に、“自分の感覚だけで完結できる生き方”だった。

ひとつは、サークルを辞めてしまえば戻れたはずの、誰にも責任を負わずに済む自由な時間だ。もうひとつは、自分のダンスだけに集中し、好き嫌いで人との距離を決められる気楽なプレイヤーの立場だった。

周囲が技術を磨くことや自分の表現に集中する中で、彼女は調整、割り振り、連携、引き継ぎといった、組織全体を担う側に回った。さらに、ひとりで完結できる距離感や、好みで関わりを選べる生活も手放している。彼女が捨てたのは、自分の感覚だけで生きられる学生生活だった。


【意思決定の軸】

「高い目標を推進しやり切ること」

ただし、彼女の「推進」は昔と同じ意味ではない。

以前は、自分が前に立ち、自分が回し、自分が正解に近いと思う方向へ進める感覚が強かった。いまはそこに、仲間と一緒に進めるという意味が加わっている。自分が動かすことに価値を感じる軸は変わらない。でもその力を、一人で勝つためではなく、組織の中でつながりを生むために使おうとしている点が、今の彼女の変化だ。


【現在の挑戦】

彼女が向き合っていた最大の壁は、仕事を連携によって推進することだ。これまでは、自分で持ったほうが早い、自分でやったほうが精度が高い、という感覚が強く、その結果、仕事が集中し、誰が何をしているかも見えにくくなっていた。けれど約300人の組織を動かすには、それでは限界がある。もちろん膨大な量なのでコアな仕事は自身で進めつつも、できる範囲で後輩にも役割を渡し、仕事の分散と連携強化を進めながら、仕事を通じて仲間とのつながりが深まる組織へと変えようとしている。彼女にとって今の挑戦は、“有能でいること”ではなく、“人とつながりながら動かすこと”にある。


【誰に、何を返したいか】

彼女が返したいのは、SesSionの後輩やメンバーに対する、「一緒に仕事をする中で生まれる絆の価値」だ。

自分自身が大学で初めて、ただ一緒に遊ぶ関係ではなく、同じ目的に向かって動く中で人とのつながりが深まっていく感覚を知ったからこそ、それを自分だけの変化で終わらせたくないと思っている。

引退するときに、後輩から「かっこよかった」「実は尊敬してました」と言われたいのは、目立ったからではない。この人と一緒に動いた時間に意味があったと、誰かの中に残る存在でありたいからだ。


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