STUDENT DECISION RECORDS
STUDENT DECISION RECORDS
ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。
早稲田大学商学部4年、神奈川県藤沢市生まれ・北海道育ち。
ダンスサークル SesSion の第20代副幹事長。多くの学生ダンサーが自分の技術向上やステージ上での存在感を優先する中で、彼は約300人規模の個性の強いメンバー全員の「やりたい」を形にできる環境づくりを引き受け全国大会で日本一を取る縁の下の力持ちとしてやりきっている。
現在の挑戦は、20期と21期の壁をなくし、バトル・ショーケース・大会など目的の違うメンバーが、分断ではなく一つの組織として動ける状態をつくることだ。
周囲が「自分がうまくなること」に時間を使える中で、彼は「みんなが本当の笑顔で輝ける瞬間を創ること」を先に置いた。
中高とプレイヤーとしても高みを目指していた過去もあるがが、彼はあえて自分のダンススキルの伸びを犠牲にしてでも、全員がやりたいことに意味を持てるSesSionをつくる側に回っている。
彼にとって副幹事長は、肩書きではなく、個性が強く掛け違うとバラけやすい仲間の笑顔を守るための役割だった。

彼が学生時代に成したいことは二つある。
ひとつは、周囲が「個人として勝つ」ことを追いやすいダンスシーンの中で、SesSionとして全国大会で日本一を取ること。もうひとつは、それ以上に、バトルをやりたい人も、ショーをやりたい人も、大会に出たい人も、それぞれがSesSionにいる意味を持てる環境をつくることだ。
単に強い組織ではなく、全員が「ここでやりたかった」と思える組織を残すことが、彼の学生時代のゴールになっている。
彼がこの道を選んだ理由は、高校時代に「やりたいことをやり切れなかった」痛みが残っているからだ。
多くの高校生が部活を走り切って次へ進む中で、彼は高2で一年間、重い貧血と低血圧に苦しみ、思うように走れない1年間、自身に怒り苦しんだ。もちろん、回復後3年生の時に、真摯に陸上に向き合いやり切って成績も残したが、どうしても心のどこかでは不完全燃焼感が残っていた。
だから大学では、周囲のように中途半端な関わり方はしたくなかった。自分だけが満足する形ではなく、自分のやりたいも、周りのやりたいも、100%に近い形で残したい。その思いが、副幹事長という責任の重い選択につながっている。


彼の価値観の原点は、早くから「自分が前に出る」より「周りを支える」ことに喜びを感じてきた点にある。
小学校では野球を続ける友人が多い中で、自分の意志で陸上へ進んだ。中学では、3年生が下級生を見きれていない状況の中で、彼が1年生の練習やメンタル面のサポートを買って出た。そのとき明確に芽生えたのが、コミュニティにいる人には想いをまっすぐもち輝いてほしいという感覚だった。
一方で高校では、自分自身が走れなくなり、周囲に支えられても素直に受け取れないほど苦しんだ。中学で“支える側”に立った経験と、高校で“支えられる側”として葛藤した経験、その両方がいまの「みんなの笑顔を守りたい」という価値観につながっている。
覚悟が定まったのは、第20代がいい意味で非常に個性的である一方、逆にやりたいことも方向もバラバラだと見えたときだった。
周囲がそれぞれの活動に集中する中で、彼は「このままではまとまらない」と感じた。そして中学時代、部長として下級生を支えた感覚がよみがえり、“全員のやりたいを形にできる副幹事長がいるなら、それは自分だ”と直感した。
多くの人が「向いているか」を考えて立ち止まる場面で、彼は他薦もあり「自分がやるしかない」と腹をくくって立候補した。
彼がこの挑戦の裏で捨てたものは軽くない。
多くの学生ダンサーが集大成に向け自分の練習時間を積み上げる中で、彼はプレイヤーとしての伸びしろそのものを後回しにした。さらに、練習の休み時間や空き時間を自分の回復や娯楽に使う代わりに、彼は常にSesSion全体のことを考え、声をかけ、空気を読み、環境を整える側に回っている。
彼が手放したのは単なる練習時間ではない。“自分の成長を追える大学4年間”という、最も分かりやすい学生としての成功ルートだった。

「人の本当の笑顔を引き出す」
多くの学生がガクチカになるかもなど「自分に何が返ってくるか」で役職を選びがちな中で、彼は一貫して「周りを本当の笑顔にできるか」で決めてきた。彼にとって副幹事長とは、自分の実績を増やすポジションではなく、個性の強いメンバーがそれぞれの居場所を持てるようにする役割だ。自分が目立つかより、誰かの、皆のやりたいが実現するか。そこに彼の判断基準がある。
いま彼が向き合っている最大の壁は、20期と21期のあいだにある見えない壁をなくすことだ。
多くの大規模サークルが、代ごと・目的ごとに分かれていく中で、彼はそれを「仕方ない」で済ませたくないと思っている。大会に出る人、新人戦に集中する人、バトルをやる人がバラバラに走るのではなく、それぞれ違う目標を持ちながらも、SesSionという一つの組織としてつながっている状態をつくること。
それが、全国一を取った後の彼の次の戦いになっている。
彼が返したいのは、サークル員一人ひとりに対する「やりたいことができた」という実感だ。周囲が自分の結果や実績を求める中で、彼は「副幹事長としてありがとう」と言ってもらえることを一つの到達点に置いている。
それは承認欲求というより、自分が仲間のために割いた時間や選択が、ちゃんと誰かの笑顔につながっていた証拠だからだ。
彼は最後に、自分が一番うまくなったと言われたいのではない。自分がいたから、この組織でやりたいことをやれた、と仲間に思ってもらいたいのである。
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