STUDENT DECISION RECORDS

『ノートとペンを買ってこい』から始まったサッカー人生。エリート街道を歩んだ彼が“チームのために動ける組織”を目指す理由#SDR28-0026

INTERVIEW & TEXT

和泉 圭佑

2026.05.22

STUDENT DECISION RECORDS

ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。

学生プロフィール

成蹊大学に通う学生。

成蹊蹴球部に所属し、スポンサー活動や地域のサッカー教室などを担当している。

幼少期は転勤族で、数多くの習い事を経験する恵まれた家庭で育つ。中学・高校時代は名門クラブチーム「三菱養和」の狭き門を突破し、エリート街道を歩んだ。

しかし高校時代の慢心から大学受験で全落ちし、過酷な浪人生活を経験。

大学入学後、利害関係を超えて自分たちを応援してくれるスポンサーや、チームのために動く先輩の姿に衝撃を受け、現在は「自己犠牲を払える組織づくり」に奔走している。

組織のために動ける最高のチームを作るために

名門クラブチームで全国レベルのプレッシャーと戦い、輝かしい実績を残してきた彼。常に恵まれた環境でサッカーを続けてきた彼が、大学で選んだのは、学生主体で運営資金さえも自分たちで稼がなければならない環境だった。

かつては自分のプレーや結果だけにフォーカスしていた彼が、なぜ今は「自己犠牲」をキーワードに掲げ、チームのために汗を流しているのか。挫折と慢心、そして本気で応援してくれる大人たちとの出会いが、彼の価値観を根本から変えた軌跡に迫る。

【学生時代に成したいこと】

彼が成蹊蹴球部で成し遂げたいことは、「チームのために動ける人間を増やすこと」だ。

見返りがすぐに来なくても、チームの未来のために自分の時間を削り、他人のために動ける人が増えれば、組織は必ず成熟し強くなると確信している。

そしてゆくゆくは、地域のイベントに行けば必ず蹴球部の存在があるような、地域から愛され、根付く「ホームタウン」のような存在にすることを目指している。

【その道を選ばざるを得なかった理由】

彼が「自己犠牲」や「組織貢献」の道を選ばざるを得なかったのは、大学に入り、これまでの“与えられるのが当たり前”だった環境と、今の環境のギャップに直面したからだ。

名門クラブチームにいた頃は、サッカーだけに集中していればよかった。しかし大学では、スポンサー活動などを通じて「自分たちから能動的に価値を提供しなければ、生きていけない」という厳しい現実に気づいた。

だからこそ、自分の時間を削ってでもチームの価値を上げる活動にコミットする道を選んだのである。


【原体験における共鳴ポイント】

彼のサッカー観の根底には、小学3年生の時の強烈な原体験がある。

当時、軽い気持ちで海外コーチのセレクションに応募しようとした彼に対し、所属チームのコーチは練習から彼を外し、「ノートとペンを買ってこい。何のためにサッカーをしているのか書け」と突き放した。

ただ好きでやっていただけの彼が、初めて「自分がサッカーに向き合う理由」を深く考えさせられた瞬間だった。

また、高校時代の「慢心と挫折」も彼を形作っている。クラブユースで大舞台を経験する一方、勉強を怠り、スポーツ推薦の基準に届かず一般受験も全落ち。

「自分ならできる」というプライドが完全にへし折られ、逃げ場のない浪人生活で週7日猛勉強し、精神的に限界まで追い詰められた経験が、「人生は甘くない」という教訓として今の彼のストイックさを支えている。


【覚悟が定まった瞬間】

彼の中で覚悟が定まったのは、蹴球部支援者との食事会での出来事だ。

先輩が「どうすれば企業に価値を返せるか」と真剣に議論する横で、支援者から「利害関係ではなく、ただ純粋に君たちを応援したいから出資している」と語った。

見返りを求めない純粋な応援と、それに応えようとする先輩の姿を目の当たりにした時、彼は「自分もチームのために、そして応援してくれる人のために動かなければならない」と強く心を動かされた。

【捨てたもの】

彼が自己犠牲の精神で手放したのは、「個人的な遊びの時間」だ。

大学生活の自由な時間や、ゴールデンウィークに理系の友人と出かける誘いも、「部活の業務があるから」と断るようになった。

最初は遊びたい気持ちもあったが、今では部活のために動くことが自分の中でデフォルトになり、それを苦と思わずに割り切れるようになっている。


【意思決定の軸】

彼の意思決定の軸は、「自分がやりたいか」から「それが蹴球部のためになるか、チームの価値を上げられるか」へと明確に変化した。

個人の成績や自己顕示欲ではなく、組織の未来や地域貢献といった広い視野で物事を捉え、行動を選択するようになっている。


【現在の挑戦】

いま彼がぶつかっている壁は、「時間とお金というリソースの限界」と「部員の意識改革」だ。

学生という立場で授業や就活と並行しながら、どこまで部活に時間を割けるか。そして、自分と同じようにチームのために動こうとする意識の高い部員をどう増やし、巻き込んでいくか。

企画を形にするための現実的なハードルと格闘している。


【誰に、何を返したいか】

彼が引退の時に一番言葉を交わしたい相手は、親とスポンサーだ。

親には、これまで応援してくれた分、「社会人としてこんな価値を提供できる人間に成長したよ」と胸を張って伝えたい。

そしてスポンサー企業様に対しては、「君たちの代でチームは変わった、応援し続けてよかった」と心から思わせる結果を返したいと強く燃えている。


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