STUDENT DECISION RECORDS

「なんとかなる」の裏側にある覚悟。九大サッカー部で紡ぐ、感謝と挑戦の物語。#SDR28-0106

INTERVIEW & TEXT

冨田 裕史

2026.07.02

STUDENT DECISION RECORDS

ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。

学生プロフィール

待鳥隆之介。北九州出身、九州大学理学部3年生。幼少期から「目標達成」に喜びを感じる几帳面な性格。高校時代、サッカー部のキャプテンとして組織を牽引する中で、厳しさと優しさの狭間で葛藤。その経験は、現在の大学サッカー部での活動にも息づいている。理系学生として過酷な学業とサッカーの両立に励む日々。彼の原動力は、周囲への感謝と、困難を「なんとかなる」と前向きに捉えるポジティブな意志だ。最後となるシーズンを前に、仲間とともに「勝利」という一つの目標に向かって突き進んでいる。



トミカを完璧に並べ、救急車の出動回数を記憶していた幼少期の少年。その几帳面さは、やがてサッカーという予測不能なフィールドで、一つの「強さ」へと昇華された。九州大学理学部で化学を専攻し、サッカー部の主力として戦う待鳥隆之介。彼が体現するのは、どんな困難も前向きな糧へと変換するポジティブなリーダーシップだ。幼少期の経験から培われた「目標を達成する喜び」は、今、学生主体で運営されるチームを動かす原動力となっている。なぜ彼は、あえて厳しい道を選び続けるのか。その裏側にある葛藤と覚悟に迫る。

【学生時代に成したいこと】

現在所属するサッカー部で、彼が目指すのは学生主体でのチーム運営を成功させることだ。

外部の大人の指導に頼らず、自分たちで戦術を練り、組織を動かす。その中で目指すのは、もちろん勝利だ。しかし、単に試合に勝つことだけがゴールではない。

共に戦う仲間と、「自分たちで考え、実行し、結果を出す」というプロセスそのものを共有し、大学サッカーという限られた時間を、全員にとっての最高のアセットにすること。

それが、今の彼が成したいことである。

【その道を選んだ理由】

数ある選択肢の中で、なぜ彼はあえて責任の重い役割を選び続けるのか。それは彼にとって、消去法での選択ではない。

彼の中には「自分しかいない」という純粋な使命感があるからだ。

幼少期から家族の中で育まれた誠実さと、周囲への責任感が、いつしか「誰かがやらなければならないなら、自分がやる」という自然な行動原理へと繋がっている。厳しい道を選んでいるというよりは、自分の手で環境を良くできると信じているからこそ、責任ある役割から逃げないのだ。


【原体験における共鳴ポイント】

彼の価値観の根底には、小学校時代の「シール制度」がある。

自学を頑張れば宿題が減るというシンプルな達成報酬。そこで彼は、「努力すれば結果が出る」「自分で目標を設定し、それをクリアすることの喜び」を知った。

中学校での体育委員長としてのリーダーシップ経験も大きい。最初は意見を押し通すことに怖さを感じたが、周囲の状況を注視し、調和を保ちながら進むことの重要性を学んだ。

これらの成功と葛藤が、現在の「感謝をベースにしたポジティブなリーダーシップ」を形作っている。


【覚悟が定まった瞬間】

高校3年時、最大の転機が訪れた。

信頼していた顧問の先生が異動し、サッカー未経験の先生が着任したのだ。周囲に動揺が広がる中、彼の中でスイッチが入った。

「もう、自分がやるしかない」。

それまで抱えていた「嫌われたらどうしよう」という恐れは消え、自分自身がチームの指針となる覚悟が決まった。その決断が、後のインターハイベスト16という結果に結びついている。

この時、彼はリーダーとは「与えられた環境を嘆く者ではなく、自ら環境を作り出す者」だと理解した。


【意思決定の軸】

彼の意思決定の軸は極めてシンプルだ。

「ポジティブ思考が結果を招く」。

物事をネガティブに捉えることは、彼の中にはない。どんな状況でも「どうすれば良くなるか」にフォーカスし、常に周囲への感謝を忘れない。結果が出るかどうかを恐れて立ち止まるくらいなら、やってみてダメなら修正すればいいというマインドセット。

この謙虚さと前向きさのバランスが、結果として周囲の協力を呼び込み、不可能を可能にする突破口となっている。


【現在の挑戦】

いま直面しているのは、大学サッカーという最後の舞台での、己との戦いだ。

2年次に経験した怪我による長期離脱は、心身ともに彼を苦しめた。自分の席が後輩に埋まっていく焦り。しかし、彼はそこから逃げなかった。

復帰までのプロセスで、俯瞰してチームを見る目を養い、怪我前よりも深い洞察力を持つ選手へと成長した。

大学という高度な学業とサッカーの両立、そして来年に備えた、自らが自らに課す高い目標。それら全てを「ラストシーズンを最高のものにするための試練」として楽しんでいる。


【誰に、何を返したいか】

引退の時、彼は誰に、どんな言葉をかけられたいか。

それは、ともに戦った仲間や、自分を信じてくれた家族から「お前がチームを引っ張ってくれてよかった」「最後まで一緒に戦えてよかった」と言われることだ。

彼が受け取ってきた、おばあちゃんの温かさ、家族の応援、仲間との信頼。それら全てを、結果として勝利という形で恩返ししたいと考えている。

彼にとって、自分を支えてくれた全ての人への最大のギフトは、悔いのない姿を見せることなのだ。

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