STUDENT DECISION RECORDS
INTERVIEW & TEXT
光延 優佑
STUDENT DECISION RECORDS
ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。
福島大学経済経営学類2年、福島県福島市出身。
幼少期は「青空の下」で無邪気に遊ぶ一方、密かに「将来は社長になる」という野望を抱く。
中学・高校時代は周囲の目を過剰に気にし、人と一線を画す閉鎖的な時期を過ごす。高校での生徒会副会長の打診を恐怖から辞退したことを後悔するも、高校3年時のクラス替えで自分を丸ごと肯定してくれる仲間と出会い、他者と熱狂する喜びに開眼。
福島大学進学後、NPO法人ドットジェイピーでの活動を経て、1年秋に地域活性化サークル「金谷川プロジェクト」へ加入。人の目を克服し、周囲の推薦と秘めた情熱から2年でサークル長(代表)に就任。現在は地域の街おこしと「誰もが主人公になれる居場所作り」の両立に向き合っている。

かつて、人の目を異常なほど気にし、人と話す時も常に敬語で壁を作り、「自分は他者から嫌われているのではないか」と自らの殻に閉じこもっていた少年がいた。中学時代も高校1・2年時も、傷つくことを恐れて一線を引き、高校で打診された生徒会副会長のオファーすら「選ばれなかったらどうしよう」と辞退してしまった過去を持つ。
しかし現在、福島大学2年となった佐藤朝日は、地域活性化サークル「金谷川プロジェクト」のサークル長(代表)として、誰よりも明るく、誰よりもフラットに組織を引っ張っている。人の目を恐れていた影の時代を脱ぎ捨て、仲間一人ひとりの物語を承認する熱いリーダーへと覚悟を定めた彼の、意思決定のドラマに迫る。
彼が今、大学生活をかけて成し遂げたいこと。それは「金谷川という地域に『何もない』という状態を解消し、学生も地域住民も全員が自分の人生の『主人公』として熱狂できる居場所を創り上げること」だ。
多くの大学生が、サークルを気楽な娯楽として楽しんだり、バイトや個人の時間を中心とした穏やかなキャンパスライフを選ぶ中、彼はあえて地域課題に深く踏み込む「金谷川プロジェクト」の代表という、重い責任を伴う道を選んだ。ただ与えられたサークル生活を送る選択を捨て、地域住民の切実な思いと学生の熱量を繋ぎ合わせる先頭に立ち続けている。

なぜ、かつて人の目を恐れていた彼が、あえて自ら「代表」という矢面に立つ道へ向かったのか。それは、彼の中に「これまでの先輩方が守ってきた良き土台を深く尊重した上で、自分ならもっと一人ひとりを大切にし、全員が自分らしく輝ける最高のチームを作れる」という確信があったからだ。
1年の秋に加入した当初から、彼には「やるならトップに立って組織を良くしたい」という内なる渇望があった。前代表からの直接のバトンタッチと、信頼する同期の優秀な仲間たちの存在。「この仲間たちと一緒なら、どんな壁も乗り越えられる。自分がリーダーとしてチームのポテンシャルを最大化させたい」と確信したとき、彼は迷うことなく代表の座を引き受けた。

彼の意思決定を支えるのは、高校3年時の「自己肯定の原体験」と、かつて人の目を気にして一線を引いていた「閉鎖的な過敏さ」の記憶だ。
高校2年まで人を恐れ、一線を置いて過ごしていた彼を変えたのは、高校3年のクラス替えだった。学年で誰もが知るサッカー部の友人が、暗かった彼のありのままを「朝日君、めっちゃいいじゃん!」と全面的に肯定し、受け入れてくれたのだ。クラス全体で特設のInstagramアカウントを開設し、ポスターまで作ってソフトボール大会に熱狂したあの体験。
「人は思っている以上に他人を拒絶していない。自分を出していいんだ」と知ったことが、彼の価値観を根底から覆した。
人を深く観察してきた過去があるからこそ、今の彼は「人間一人ひとりにかけがえのない人生のストーリーがある」と理解している。誰の意見も絶対に否定せず、まず受け止める彼の優しさは、過去の孤立と肯定の記憶から生まれている。

“自分の野望を胸の奥に秘めるだけだった状態”から、“確固たる覚悟で組織を率いる代表”へと一歩を踏み出すきっかけは、かなプロ加入前のNPO法人ドットジェイピーでのスタッフ活動時代、先輩から掛けられた一言だった。
「朝日は人の意見を聞く耳があるし、人をまとめるトップに向いているよ」
幼少期に「将来は社長になる」とぼんやり抱いていた野望、そして高校時代に恐れて生徒会の役職から逃げてしまった不完全燃焼の記憶。それらが一気につながった。
「自分を見て評価してくれる人がいる。今度こそ、逃げずに人の前に立ってみせる」
前代表から直々に「次を頼む」と打診されたとき、彼の胸にあったのは不安ではなく「やってやる」という確実な情熱だった。
彼がこの挑戦のために手放したものは、「人の目を気にして安全地帯に引きこもる、摩擦のない平穏な選択」だ。
代表になれば、大勢の前に立って発言し、組織の方向性を差し示さなければならない。サークル生の中で「帰りたい」「楽しくない」と熱量差が生まれた時には、サークル長として強いショックと向き合うタスクもついて回る。しかし彼は、「嫌われるかもしれないからと一線を引く過去の弱さ」を重く手放した。自分の未熟さも曝け出し、一人ひとりとフラットに向き合う覚悟を決めたのだ。
「全員が自分の人生の主人公になる」
組織の単なる「部品」として動くのではなく、誰もが自分の意志で自由に輝いていい。他者の人生のストーリーを心から尊重するからこそ、彼はこの軸を掲げている。

現在、彼が直面している最大の壁は、「地域活性化という本気度の高い課題解決」と「サークルとしての親しみやすさ・居場所感」という心理的ジレンマだ。
街おこしに本気になればなるほど、活動が義務的になり「楽しくない」と感じるメンバーが出てしまう。熱量差に悲しさを覚えながらも、彼は「自分を犠牲にするのではなく、一人ひとりが自分の成長や面白さのために自己中心的に動いていい」と語りかける。アイスブレイクの導入やラフなコミュニケーションを徹底し、義務感ではなく「ワクワク」で人を動かす組織作りに挑んでいる。
彼が成果を届けたい相手。それは、サークルを共に支えてくれる優秀な副サークル長であり、自分を代表として信頼してくれた仲間たちや地域住民だ。
活動を終えた時、信頼する副サークル長から「朝日と一緒にやってよかった。これからもよろしく」と認められた時、彼の挑戦は真の成功を迎える。 現場で関わる人々への感謝を胸に、今度は自分が福島という大好きな街に「金谷川プロジェクト」という新しい活気とハイブリッドな魅力を創り出すことで、地域社会へ特大の恩返しを果たそうとしている。
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