STUDENT DECISION RECORDS

「誰かがやるのを待つ安全地帯」を捨て、ゼロから部を創設。祖父母との別れの痛みを胸に、彼が「自らの意見を発信できる仲間」を増やす理由。#SDR28-0175

INTERVIEW & TEXT

光延 優佑

2026.08.27

STUDENT DECISION RECORDS

ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。

学生プロフィール

神戸市外国語大学1年、長野県出身。

幼少期より絵画や学業で頭角を現し、中学時代は学年トップクラスの成績を納める。高校時代、校内で迷子になった際偶然出会った英語ディベート部に入部。部内の熱量差に苦しむ戦友の涙をきっかけに覚悟を定め、過酷な練習を重ねて世界大会優勝経験校を破る快挙を達成。また、高校から大学直前にかけて祖父母が相次いで他界した経験から「今すぐ行動しなければ後悔する」という絶対的な自責思考を確立する。

大学進学後、学内に英語ディベート部が存在しないことを知るや否や、1年次でゼロから部を創設。現在は法人口座開設や公認化の手続き、後輩の育成など組織基盤の構築に向き合っている。

覚悟の瞬間が、人の背中を押す

中学時代は学年トップの成績を誇り、理不尽な衝突に際しても冷徹に法律を意識して自らを律していた、静かなる優等生。

しかし現在の彼は、神戸市外国語大学1年でありながら、学内に存在しなかった「英語ディベート部」を自らゼロから立ち上げ、4つの団体を掛け持ちしながら、圧倒的な熱量で組織を率いている。かつて「後回しの後悔」に苛まれた少年が、どのようにして圧倒的な当身の当事者意識を手に入れ、仲間の先頭に立つリーダーへと変貌を遂げたのか。彼の意思決定のドラマを追う。


【学生時代に成したいこと】

彼が今、大学生活をかけて成し遂げたいこと。それは「英語ディベートを通じて、一人ひとりが自らの考え(真)を形成し、周囲の流行やSNSに流されることなく、本音で議論し発信できる人間を社会に増やすこと」だ。

多くの1年生が与えられたサークルや授業の範囲内で穏やかな日常を享受する中、彼はあえて学内に存在しなかった新しい部活をゼロから立ち上げるという、極めて過酷な道を選んだ。既存の枠組みに乗っかるだけの選択を捨て、自ら機会を創り出し、周囲の思考力を引き上げる重責を背負っている。


【その道を自らの意志で選んだ理由】

なぜ、彼は入学直後の1年という段階で、自ら部活を創設する過酷な道に向かったのか。それは、大学に英語ディベート部がないと知った時、「これまでの大学の良き環境を尊重しつつ、自分が部を創設すれば、仲間たちが思考力と発信力を劇的に高められる場所を作れる」と強く確信したからだ。

「誰かがやるのを待っていても、その機会は一生やってこない」

高校時代の部活動や祖父母との別れを経て培われた強い自責マインドが、彼に掲示板の設立マニュアルを確認させ、即座に行動へと突き動かした。現状維持に甘んじることなく、周囲のポテンシャルを最大化させるための“さらなる高みへの挑戦”を自ら選択したのだ。


【原体験における共鳴ポイント】

彼の強い意思決定の根底には、高校時代の英語ディベート部で目撃した「戦友の涙」と、相次ぐ「祖父母との別れ」という二つの強烈な原体験がある。

高校時代、部内の熱量差に苦しんだ戦友が顧問の前で悔し涙を流した瞬間、彼の心に火がついた。

「周りのせいにするのはやめよう。自分が圧倒的に強くなり、一人でもチームの勝利を引き寄せる」

そこから彼は一人で遅くまで残り、家でも英語の議論を研究。世界大会優勝経験を持つ留学生擁する強豪校に対し、驚異的な集中力で挑み、見事勝利を収めた。 さらに、高校から大学直前にかけて祖父母が他界。「話したいことがたくさんあったのに、伝えられないまま逝ってしまった」という痛恨の後悔が、彼の胸に深く刻まれた。

「その時々にできることは、今すぐやらなければ必ず後悔する」

この痛みが、現在の彼の「即行動」を支える最大のガソリンとなっている。


【覚悟が定まった瞬間】

“ディベートを楽しむ一プレイヤー”から、“リスクを背負って組織を創るリーダー”へと腹を括った転機は、大学の掲示板でサークルの設立手順を目にしたあの瞬間だった。

「部活がないなら、自分が作ればいい」

祖父母との別れから学んだ「後回しにしない」という教訓が、彼の背中を強く押した。失敗や複雑な手続きを恐れる気持ちは、ゼロから居場所を創り出せる歓喜によって完全に包み込まれた。1年目から組織を背負い立ち、仲間と共に高い景色を見る覚悟が、ここに定まった。


【捨てたもの】

彼がこの挑戦のために手放したものは、「誰かが環境を整えてくれるのを待つ安全地帯」と「やりたいことを後回しにする安易な選択」だ。

部活を立ち上げれば、新入生の勧誘から練習メニューの作成、専門用語が飛び交う複雑な大会エントリー業務まで、すべてのタスクが重く肩にのしかかる。しかし彼は、「後でやろう」と逃げる生き方を完全に捨て去った。自らリスクを負い、未熟さもすべて引き受ける覚悟を決めたのだ。


【意思決定の軸】

「即行動し、自ら機会を創り出す」

「いつかやる」は永久にやってこない。祖父母との別れというかけがえのない教訓から得た、今この瞬間に全力を尽くすという彼不変の規範である。


【現在の挑戦】

現在、彼が直面している最大の壁は、「1年目ならではの人材不足と過酷なタスク管理」、そして「法人口座の開設や公認団体化という構造的な手続きの壁」だ。

新規参入者に厳しい業界のシステムや、略語・専門用語の嵐に翻弄されながらも、彼は他大学の先輩に自ら頭を下げて教いを乞い、一つずつ課題をクリアしている。さらに、冬の大会に向けて自らディベーターとして復帰し、プレイヤーとしても結果を残すという、二重のハードルに果敢に挑み続けている。


【誰に、何を返したいか】

彼が成果を届けたい相手。それは、自分を成長させてくれた英語ディベートという競技、そして1年目という未知の組織に信頼して付いてきてくれた部員たちだ。

「津田と一緒にディベートをやって、自分の意見を持ち、発信できるようになって良かった」

そう仲間から認められた時、彼の挑戦は真の成功を迎える。そして、自分の軸を持たずに流されがちな現代社会に対し、本音で議論し合えるタフな人材を輩出するという形で、最高の恩返しを果たそうとしている。

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