STUDENT DECISION RECORDS
INTERVIEW & TEXT
冨田 裕史
STUDENT DECISION RECORDS
ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。
崎山稜平。奈良先端科学技術大学院大学、農業ボランティアサークル「あぐり」代表。幼少期より持ち前の好奇心と活発さで、常に未知の環境へ飛び込んできた。
剣道で培ったのは、実力差のある仲間を巻き込み、組織を一つにするリーダーシップの真髄だ。大学では教員を志し、教育実習を経て「言葉が相手の人生を変える瞬間」の価値を確信。
現在は、営業として社会に挑む準備を整えつつ、農業の人手不足という社会課題に対し、泥臭い現場体験を通じて「農業の面白さ」を次世代へ継承する仕組み作りに奔走している。

幼い頃、親の言いつけを破ってでも湖へ飛び込み、好奇心のままに未知の世界を探索した少年がいた。
その衝動は、やがて剣道という規律の中での葛藤を経て、農業という「泥臭い現場」へと昇華された。
今、彼は農業ボランティアサークル「あぐり」を立ち上げ、自ら汗をかきながら、若者が農業の面白さに熱狂できる場所を作ろうとしている。これは、己の成長を信じ、人の心を動かすことに情熱を注ぐ、ある若きリーダーの挑戦の物語である。
現在、私は「農業ボランティアサークルあぐり」の代表として、単なる人手不足の解消以上の価値を目指している。
卒業までに成し遂げたいのは、私がいなくなった後もこの活動が持続する「仕組み」を作ることだ。農家の方々が抱える切実な人手不足に応えることはもちろん、参加する学生たちが泥の中で汗を流し、植物と向き合うことで、心の底から「農業は面白い」と感じられるような熱いコミュニティを定着させたいと考えている。

なぜ農業だったのか。それは、研究という学問的な探究だけでなく、現場の「生の声」と「泥の感触」が、自分を最も突き動かしたからだ。
教員を志した時期も、実習を通じて私は「知識を教えること」以上に、「人の成長や変化に立ち会うこと」にこそ喜びを感じる自分に気づいた。
農業の現場は、厳しくも美しい。そこに若者が飛び込み、農家さんと膝を突き合わせて語り合う時間は、机上の勉強では得られない圧倒的なライブ感がある。私は、その熱量を繋ぐハブになりたかったのだ。

私の行動原理の原点は、祖母の厳しい教育と剣道での経験にある。
幼い頃、祖母に礼儀を厳しく叩き込まれた日々は、今の私を律する強固な土台となっている。そして何より大きかったのは、剣道のキャプテンとして味わった「挫折」だ。
自分の中にある高い熱量を周囲に押し付け、空回りした経験。しかし、そこで腐らず、相手のレベルに合わせて対話を重ね、練習メニューを工夫したことで、チームが一つになった。あの時、リーダーシップとは「強さの証明」ではなく「他者への共鳴」だと学んだ。それが今の、学生を巻き込み農業へ誘う力となっている。

転機は、サークルを「ゼロから立ち上げた」瞬間だった。
一人で始めた活動が、LINEでの発信一つで30人、40人という仲間に広がった。誰もいないところから、自分が種を蒔き、人が集まり、活動が形になる。その過程で、農家さんが汗をかきながら「ありがとう」と言ってくださる笑顔を見たとき、この活動を絶対に終わらせてはいけない、という責任感が、確固たる覚悟へと変わった。

私の選択の軸は「ワクワクできるか」、そして「その先に誰かの喜びがあるか」だ。研究職ではなく、人と対面する仕事を選択したのも、自分を活かして相手の課題を解決するプロセスに、最も自分らしさを感じたからだ。迷ったときは、いつも「どちらが面白い未来を描けるか」という直感を信じる。その直感に従えば、どんなに厳しい道も、自分を成長させる最高のステージになることを知っているからだ。

最大の課題は、活動の固定化だ。
メンバーは増えたが、実際に泥にまみれるコアメンバーが固定されている。いかにして次世代へバトンを渡し、誰もが気軽に参加できる空気を作るか。学業と就活、そして研究。時間の制約はあるが、私は「農業旅行」の企画や、OB・OG会の設立といった施策を打ち、卒業後も農業に関わり続けられる「帰ってこれる場所」を作ることに全力を注いでいる。

卒業の時、農家さんから「あぐりがいてくれて本当によかった」と言われたい。
そして、共に泥を触った後輩たちから「農業が大好きになった」という言葉を贈られたい。私にとっての恩返しは、ここで出会った人たちに農業の可能性を見せ続けることだ。
将来、自分自身が農家となりまた次の若者を迎え入れる。そうして農業という産業が「静かに消えていく分野」ではなく、若者が誇りを持って挑む「熱狂できる舞台」になる未来を、私は信じている。

この学生に会いたい!応援したい!!
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