STUDENT DECISION RECORDS
INTERVIEW & TEXT
冨田 裕史
STUDENT DECISION RECORDS
ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。
兵庫県神戸市出身。滋賀大学経済学部所属。
幼少期より物事を客観的に捉える性質を持ち、少年野球や陸上競技を通じて、自分自身との闘い方と目標達成のプロセスを学んだ。中学時代のいじめや家庭環境の葛藤という困難に直面しながらも、それを「人を深く理解する視点」へと変換し、持ち前の責任感と行動力で突破してきた。大学では地域活性化イベントを成功させ、休学を経て自転車で日本を巡る自分探しの旅へ。現在は、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』のような「何者にも流されない、しなやかな強さ」を胸に、アートや企画を通じて、誰かの心に灯をともす活動に挑戦している。

静かに微笑むその表情の裏に、どれほどの熱量が隠されているだろうか。
神戸の山側で育った一人の青年、藤本翔太。幼少期からの静かな性質は、周囲の荒波を客観的に見つめる力となり、やがて彼を「自分の人生を自らの手で描き出す」ための歩みへと向かわせた。
現在、彼が挑んでいるのは、ただのイベント開催ではない。自分自身の弱さや過去と対峙し、他者と深く繋がるための「新しい自己表現」だ。一人の長男として、そして自分の人生の主役として、彼が今、どのような未来を見つめているのかを紐解く。

藤本が目指すのは、周囲の価値観に流されることなく、自分自身の足で立ち、誰かの孤独や不安に寄り添える人間になることだ。
大学という自由なキャンバスを渡された時、多くの学生は「何をすべきか」に迷う。しかし彼は、その問いを飛び越えて「どのような人間として生きたいか」を問い続けている。地域活動やアートイベントを通じて、関わった人々が「自分らしくあれる場所」を創出することが、彼の活動の核心にある。
彼が安易な道ではなく、困難を伴う道や責任ある役割をあえて選ぶ理由は、過去に受けた「冷ややかな視線」を経験したからだ。かつて人間関係のトラブルや家庭環境の中で、彼は「自分を隠すこと」を覚えた。しかし、それは決して逃げではない。自分を客観視し、感情をコントロールするための防衛本能であり、同時に「自分はこうありたい」という理想を育むための沈黙の時間だった。あえて険しい道を進むのは、その痛みを知っているからこそ、誰かに同じ思いをさせたくないという、深い優しさが動機となっている。

彼が強さを手に入れたのは、小学校6年生の時、校庭を誰よりも走り続けた日々だ。憧れの記録を塗り替えるため、誰に見られることもなく努力を重ねた。この時の「他人と競うのではなく、昨日の自分を超える」という感覚が、現在に至るまでの彼の行動原理となっている。
中学時代に直面した理不尽な環境も、彼は「他者の心の未熟さを冷静に見つめる」ことで乗り越えた。この強烈な客観性は、彼が他者の痛みや孤独を、誰よりも鋭く感じ取れる人間へと成長させたのだ。

転機となったのは、大学時代に出会った一人の高齢女性との交流、そして休学中の日本一周自転車旅だ。
孤独を抱える彼女のために奔走し、イベントを成功させた時、彼は「誰かのために動くこと」が、自分自身の生きる力になることを確信した。そして旅先で自分自身と徹底的に向き合った結果、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」という指針に出会う。覚悟とは、誰かに決められるものではなく、自ら選び取った生き方を貫くことだと気づいた瞬間だった。

彼の意思決定の軸は「その行動が、自分の内面から湧き上がる衝動と一致しているか」にある。外的な評価や効率だけを追うのではなく、いかに自分の「誠実さ」を保てるかを重視する。
かつて、ある活動で誤解を受けた際、彼は謝罪を余儀なくされた。それは痛烈な苦い記憶だが、その経験さえも「自分の正しさを証明するのではなく、誠実に生き抜く」という、彼なりの強固な矜持へと昇華させている。

今、彼が取り組んでいるのは、聞き手ではない方の手で絵を描くというアート企画だ。これは「綺麗に繕う」という大人の仮面を外し、自分の真実に触れるための挑戦である。利き手ではない手で描く不格好な線こそが、飾らない自分の姿。
周囲の評価を気にせず、自分の内側にある苦しみや喜びを形にすることは、彼にとって「自分自身を認める」ための果てしない挑戦であり、同時に同じように迷える同世代を照らす道標でもある。

彼が何より感謝を伝えたい相手は、母である。
経済的な困難の中にありながら、3人の子供を育て上げた母の背中を、彼は誰よりも近くで見てきた。長男として、早く自立し、妹や弟に「生き様」を見せたい。卒業の際、彼は母にこう告げたいと願っている。「ここまで育ててくれてありがとう。僕は今、自分らしく、堂々と生きているよ」と。その言葉こそが、彼が歩んできた全ての葛藤と挑戦に対する、最高のアンサーになるはずだ。

この学生に会いたい!応援したい!!
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