STUDENT DECISION RECORDS
INTERVIEW & TEXT
光延 優佑
STUDENT DECISION RECORDS
ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。
愛知学院大学2年、埼玉県生まれ愛知県育ち。
幼少期から英会話やダンスに打ち込むも、中学時代に家庭環境の崩壊と両親の離婚に直面。極限の経済的苦難と円安の中で、母の献身的な支えを受け高1でカナダ・オタワへ1年間の留学を敢行。現地で全校生徒前のソロダンス披露やチアダンス部の立ち上げ(定員30名に90名応募)を成功させる一方、金銭や境遇により夢を絶たれた世界中の友人と出会う。
帰国後、愛知学院大学総合政策学部に進学し、TEDxNagoyaU登壇やビジコン挑戦を重ねる。現在は、家庭環境や経済的理由で挑戦を諦める人をゼロにする事業創出と、女手一つで自分を育ててくれた母親への恩返しに向き合っている。


かつて、家庭環境の急変と親の離婚という不条理な現実に直面し、自分の無力さに涙を呑む少女がいた。だが彼女は、自らの境遇を嘆き、誰かのせいにして立ち止まることを拒んだ。過酷な状況の中で自分を命がけで守り抜いてくれた母親の背中と、カナダ留学で出会った「不条理に夢を奪われた世界中の仲間たち」の存在が、彼女の胸に消えない火をつけた。
単身カナダへ渡り全校生徒を熱狂させた行動力と、TEDxNagoyaUの舞台にも立った圧倒的な情熱を胸に、「環境を理由に夢を諦める人がいない社会」を創るため泥臭く走り続ける彼女の、覚悟と意思決定のドラマに迫る。
彼女が今、大学生活をかけて成し遂げたいこと。それは「生まれ育った家庭環境や金銭的理由によって、自分の可能性や夢を諦めざるを得ない人を一人も生まない社会構造を創り上げること」だ。
周囲の大学生が気楽なサークル活動やバイト、個人の将来の安定だけを見据えた就職活動に向かう中、彼女があえて選んだのは、自らビジネスコンテストに挑み、企業や大人たちを巻き込みながら、貧困や家庭環境に苦しむ人々を直接救う事業を創出するという茨の道だった。

なぜ、彼女は一般的な学生生活という安全地帯にとどまらず、社会課題の解決という重責へ向かったのか。それは、自分が経験した苦難と、世界で目撃した理不尽を重ね合わせた時、「現状の支援や環境を尊重しつつも、ビジネスの力を使えばもっと多くの挑戦者を救い、誰もが笑顔になれる仕組みを自らの手で生み出せる」と強く確信したからだ。
「かわいそう」と悲しまれる存在で終わるのではなく、不条理な壁を自ら打ち破る当事者になる。愛知学院大学総合政策学部で貧困問題やNPO経営、AIなどを貪欲に学びながら、彼女は自らの手で解を導き出す挑戦へと踏み出さざるを得なかった。

彼女の意思決定の真ん中にあるのは、女手一つで自分と7歳下の妹を守り抜いてくれた母親への感謝と、カナダ留学時代に出会った「バングラデシュ出身の友人」のエピソードだ。
高1の時、家庭の崩壊と極限の円安が重なり、留学の飛行機代すら危ぶまれる危機に直面。その時、身を粉にして働き、自分の夢を後押ししてくれた母親の姿に、彼女は言葉にならない衝撃と感謝を覚えた。そして渡航先のカナダで出会ったバングラデシュ出身の少女。医師を目指す優秀な頭脳を持ちながら、親の離婚と文化的な権利の制限によって夢を絶たれかけた友人の姿に、胸が引き裂かれるような悔しさを感じた。
「金銭や環境のせいで、輝くべき才能や夢が消されていいはずがない」
この強烈な原体験が、現在の彼女を突き動かす不滅のガソリンとなっている。

“与えられた環境で必死に生きる一人の学生”から、“社会の不条理に立ち向かうリーダー”へと腹を括ったのは、カナダの現地高校でチアダンス部をゼロから立ち上げ、定員30名の枠に90名もの応募が殺到したあの瞬間だ。
英語も満足に通じない異国の地で、最初はコロンビア人の友人に助けられながら過ごしていた彼女。だが、全校生徒の前でソロダンスを踊り切って歓声を浴び、自らチアダンス部を創設して大ヒットさせた時、彼女の中で「自分が本気になれば、国境も環境も超えて人は動かせる」という強烈な自信が芽生えた。「守られる側」を卒業し、自ら機会を創り出す側へ回る覚悟が、ここに完全に定まった。

彼女がこの挑戦のために手放したものは、「環境のせいにして悲劇のヒロインにとどまる甘え」と「若者としての気楽で自由な時間」だ。
過酷な家庭環境を理由に逃げ出すこともできた。だが彼女は、「何かのせいにして挑戦を諦める生き方」を重く捨て去った。バイトで稼いだお金も妹や家族のために使い、自分の娯楽ではなく社会を動かすための勉強と事業検証にすべての時間と情熱を注ぎ込む道を選び取ったのだ。
「誰もが笑顔で挑戦できる世界を創る」
悲しみや悔しさに沈む人を一人でも減らし、心が躍る挑戦の舞台を提供すること。それが彼女の行動を突き動かす不変の美学である。

現在、彼女がぶつかっている壁は、「社会課題解決への熱い情熱(使命感)」と「それをビジネスとして持続させる市場性・収益性」という二重のジレンマだ。
TEDでの登壇や数々のビジコン挑戦を通じて注目を集める一方で、単なる一時的なイベントや支援で終わらせず、自立した事業として成立させるための具体的なビジネスモデルの構築に頭を抱える日々。だが彼女は、大学の教授陣や起業家たちに泥臭く食らいつき、貪欲にアドバイスを吸収しながら、自らの理想を現実の形へと落とし込むタフな挑戦を続けている。
彼女が一番に成果を届けたい相手。それは、苦しい状況の中でも自分を信じ、命がけで留学へ送り出してくれた「母親」と、「家庭環境や金銭的理由で夢を諦めそうになっているすべての人々」だ。
「苺桃を苦労して留学させて、本当に良かった」
将来、そう母親に心からの笑顔で言ってもらえた時、振返った際に自分が作った仕組みによって救われた人々が「あなたのおかげで夢を諦めずにすんだ」と笑顔を見せてくれた時、彼女の挑戦は真の成功を迎える。自責の覚悟で走り抜けたその先に、彼女は最高の恩返しと、誰もが輝ける未来を咲かせようとしている。
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