STUDENT DECISION RECORDS

「平穏な高校生活」を捨て、単身ネパール・セブ島へ。16.5%の壁を破り、高校生が「世界と繋がる挑戦」を届ける理由。#SDR28-0174

INTERVIEW & TEXT

光延 優佑

2026.09.07

STUDENT DECISION RECORDS

ReWrite Career が出会った学生の「意思決定」を記録するメディアです。

学生プロフィール

茨城県つくば市出身の高校3年生。

幼少期より国際的な環境で育ち、5歳で世界18カ国を歴訪。小3時にセブ島のスラム街を目撃したショックを原体験に、中2で不用品販売等により25,000円の支援金を自力で調達し現地へ届ける。中3でWSC(ワールドスカラーズカップ)韓国世界大会に出場。

高2で「トビタテ!留学JAPAN」に採択され、ニュージーランド(3.5ヶ月)で139人にボランティア意識調査、ネパールで141人に体験型衛生指導を敢行。帰国後、学生団体「volunshare」を立ち上げ、浅草英語ガイドイベント等を大成功させる。現在は団体の拡大と、言語や金銭面の壁を超えて高校生が海外へ飛び出せるグローバル探求支援事業の起業に向き合っている。


世界の理不尽と正面から向き合い、自ら足を動かして変革を巻き起こし続ける完遂のプロフェッショナリズム。

幼少期から日常的に異文化に触れ、5歳で世界18カ国を旅してきた少女がいた。だが彼女は、単なる「恵まれた国際人」にとどまることを拒んだ。小3の時にセブ島で目撃したスラム街の凄惨な光景。同世代の子供たちが路上で生きる理不尽な現実に激しいショックを受け、彼女の胸には「なぜ自分だけが満たされているのか」という消えない問いが刻まれた。

茨城の高校3年生。セブ島、ニュージーランド、ネパールと世界を股にかけ、高校生でありながら学生団体「volunshare」の代表を務め、将来の事業化まで見据えて泥臭く走り続ける彼女の、情熱と意思決定のドラマに迫る。

【学生時代に成したいこと】

彼女が今、高校生という枠組みを超えて成し遂げたいこと。それは「日本の高校生が抱く『ボランティア=硬い・敷居が高い』という偏見を打ち壊し、誰もが気軽に一歩を踏み出し、世界や地域と繋がれる文化と事業を創り上げること」だ。

周囲の同世代が、通常の受験勉強や部活動、放課後の娯楽といった「決められた日常」を過ごす中、彼女があえて選んだのは、自ら団体を立ち上げ、56人もの高校生を動かすイベントを主催し、さらに言語や金銭の障壁を取り払う「グローバル探求支援事業」の起業へ向かう険しい道だった。

【その道を自らの意志で選んだ理由】

なぜ、彼女は一生徒としての平穏ではなく、自ら組織を率いる重責へと向かったのか。それは、日本の高校生のボランティア参加率がわずか16.5%にとどまり、世界ワースト2位という現実を知った時、「これまでの先人たちの支援の歴史を深くリスペクトした上で、自分たち若者の目線ならもっと気軽に、もっとワクワクできる形で仲間を巻き込める」と確信したからだ。

情報や仲間が不足し、一歩を踏み出せずにいる同世代のポテンシャルを解放したい。ニュージーランドで学んだインセンティブ(リワード)構造や気軽に楽しめるコンテンツを導入すれば、日本の若者の行動力を最大化できるはずだという確信が、彼女を動かした。


【原体験における共鳴ポイント】

彼女の意思決定の背骨にあるのは、小3時のセブ島での喪失感と、中2時の「2万5000円の成功体験」だ。

初めて足を踏み入れたセブ島のスラム街。自分より幼い子供たちが排気ガスの中で物乞いをする姿に、言葉を失うほどの衝撃を受けた。そのモヤモヤを放置できなかった彼女は、中2の時にメルカリで不用品を販売し、学校で募金や衣類回収を主導。集めた2万5000円と物資を握りしめ、自力でセブ島の孤児院へと届けた。 その時目にした子供たちの爆発するような笑顔。

「自分の行動で、世界は直接変えられるんだ」という強烈な手応えが、現在の彼女の爆発的な推進力(ガソリン)となっている。


【覚悟が定まった瞬間】

“行動を起こしたい一人の高校生”から、“時代の先頭に立つ起業家精神を持ったリーダー”へと腹を括ったのは、ニュージーランド留学中に現地の同世代から掛けられた一言だった。

ボランティア活動に応じたバッジ(リワード制度)の獲得を目指して奮闘していた彼女に、全色を制覇した現地の友人は静かに語った。

「バッジはただのきっかけ。大事なのは、その先で誰かの力になれた喜びを知ることだよ」

その言葉に雷が打たれた。

「自分の成長だけではなく、他者にきっかけを届ける側にならなければ意味がない」

帰国後、彼女はすぐさま「volunshare」を立ち上げ、不安に震える参加者一人ひとりに連日電話で伴走し、笑顔を引き出す徹底的な当事者意識へと覚悟を定めた。

【捨てたもの】

彼女がこの挑戦のために手放したものは、「傷つくことを恐れて守りに入る、普通の高校生としての平穏な時間」だ。

団体立ち上げ当初、メンバーとの熱量差やタスクの集中に直面し、孤独に苛まれる夜もあった。ホストファミリーとの摩擦や過酷な渡航先での困難から逃げ出すこともできたはずだ。しかし彼女は、「他人の目を気にして安全地帯にとどまる選択」を重く捨て去った。自らリスクを負い、未熟さもすべて泥臭く引き受ける道を選び取ったのだ。


【意思決定の軸】

「圧倒的な好奇心で、即行動する」

迷っている時間があるなら、まず現場へ飛び込む。思考する前に足を動かし、出会った人々の笑顔から次の解を導き出すことこそが彼女の不変の規範である。


【現在の挑戦】

現在、彼女がぶつかっている最大の壁は、「ボランティアの持つ気楽さ・楽しさ」と「事業として持続させるための構造改革(資金調達・企業協賛)」という二重のジレンマだ。

背景には、トビタテとのご縁がなく海外探究を諦めざるを得なかった友人の姿を目にし、「言語と金銭面の壁によって挑戦を阻まれる人を減らしたい」という強い思いがあった。これを一過性のイベントに終わらせず、スポンサー等の協力を得ながら、参加者の金銭的負担を極力抑えて海外探究の機会を提供する「グローバル探求支援事業」として持続的に成立させるため、彼女は大人たちと対等に渡り合うタフな挑戦を続けている。


【誰に、何を返したいか】

彼女が一番に成果を届けたい相手。それは、セブ島やネパール、そして日本のイベントで出会った「自分の行動によって笑顔になった人々」と、彼女の情熱に惹かれて集まった「volunshare」の8人の運営仲間たちだ。

「夏音ちゃんのおかげで、一歩を踏み出せた」「世界を見る目が変わった」

そう仲間や参加者から言われた時、彼女の挑戦は真の成功を迎える。そして、いつでも挑戦を後押ししてくれた両親や恩師たちへ、日本と世界の若者たちを繋ぐ新しい時代のリーダーとしての姿を見せることで、特大の恩返しを果たそうとしている。

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